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名付ければ「令和大動画時代」でしょうか…。

大航海時代と言わんばかりに動画業界に火が付き、とにかく引き合いが殺到しているという現状。
おそらくいまだかつてないほどの忙しさを感じている制作会社も数多くあるかと思います。

私自身、デザイナーやディレクターとして制作会社やフリーのカメラマンなどとの付き合いがありますが、どこも今は本当に忙しいと聞きます。
それくらい、「コロナ禍での動画需要」は圧倒的な広がりを見せています。

逆に言えば、「誰でも・気軽に・簡単に扱えるコンテンツ」となってしまっているとも言えますよね。
需要が高まると、競合が集まり、一般化が進み、価格が下がり、さらに一般化が進む。
かつてDTPが味わってしまった飽和状態が、動画にも来始めている。自分はそう考えています。

しかし、非対面・SNS・動画広告・デジタル化、など旬なワードには必ずついてくる動画。
効果測定が可能になり、より結果を求められている媒体で、どうやって違いを見せていくか?
そこに「シネマティック」・「log撮影」・「raw撮影」・「カラーグレーディング」などという言葉が現れてくるように感じています。
とにかく、「美しく編集しやすいカメラ」で撮影して、「画面映えしやすい編集」をしようね、という解釈です(笑)
多分そこを知ることで圧倒的に品質の高いものを作れると思っています。

これはこの前プライベートで横浜でフラフラと歩いているときに撮ったものです。タイムラプスなどを駆使することでより印象的な撮影ができるかと思いますが、
これも撮影時に行う設定ですので、編集を意識した撮影というのは本当に大事になってきます。

じゃあ美しく編集しやすい撮影ってどんなもの?

私はカメラマンではありませんので、自前のカメラ、BLACK MAGIC DESIGN社のBMPCC4Kを使っていろいろ撮りまくっているなかで掴んだ理解ですが、
実際に撮影と編集を行うとお互いを補完しないとダメだと感じました、
特に撮影データは戻しようのない一発本番のもの。これを誤った設定で撮ってしまうと全てが台無しになります。本当に。

じゃあどんなカメラでどんな設定で撮ればいいんだ?となりますが、これも実際にこれじゃなきゃダメっていうものはないんですよね。いや、あるかもしれませんが(笑)
どっちだよってなってしまいますが、これに関しては自分なりに考えた結果の形になりますが、ご紹介できればと思います。(結構オーソドックスかもしれませんが)

私なりにですが、最近よく聞く、「シネマティック」という言葉を少しだけ意識しています。
一言で言うと、映画っぽく作ろうよ!という点です。(〜っぽい、というのはクリエイティブを作る上ですごく重要な点です)
映画っぽい動画ってなんだかテレビドラマとちょっと違ったフィルム感だったりとか、コクのある色味だったりとか、臨場感のあるBGMだったりしませんか?
これを真似て考えるのが「映画っぽい作り」になってきます。

私が撮影時に考えること(なんどもいいますが、私はカメラマンではありません…)、カメラマンにお願いすることは、

・24fpsで撮って!
・1/48で撮って!
・logで撮って!
・可能であればrawで撮って!
・4:2:2 10bitで撮れるカメラで撮って!
・明るいレンズ使って!
・スライダー使って!

この辺りは大体要望します(笑)
当たり前だよって思う人もいれば、よくわからんよ、っていう人もいると思いますが、
このあたりを抑えておけば、まずは「シネマティック」で美しく編集するための撮影下準備ができるんじゃないの?って思っています。
ではひとつずつすごく簡単に解説していきます。

24fpsで撮って!の解答

まずシネマティックな動画を作る上で一番重要と言っても過言ではない部分。基本1秒間は30コマで作っていますが、それをあえて間引いて24コマで作りましょう、ということになります。
なんでわざわざ間引くの?って感じるかもしれませんが、映画は基本24fpsで出てきていると言われています。その昔データを軽くするために泣く泣くコマを減らして〜なんて噂を聞いたことがありますが、
この「1秒間に24コマ」が「映画っぽさ」を演出します。あえてカクカクさせることが映画に近い印象をうけるってことになります。

1/48で撮って!の解答

シャッタースピードのことですが、これは基本的にフレームレートの倍数で設定するというセオリーなので、1/48、1/96、といったステップで早くしていくことになります。
ただ、1/48、1/96ていうのはあまり見かけないので、基本的には1/50で撮影すれば良いと思います。

logで撮って!の解答

logで撮影するとグレートーンで撮影されて、最初なんじゃこりゃ?って思ってしまいますが、これはカラーグレーディングを前提とした撮影手法になります。
黒つぶれや白飛びを可能な限り減らす手法なので、編集時に空など白飛びしやすい部分の色をグッと出すことができたり、影などの暗部の質感も残すことができたりします。
欠点としては、ISO感度を上げてしまう部分です。
SONYのS-logなどは、logのモードに切り替えると予め高いISO感度で撮影することになってしまうので、ノイズなどに悩まされたりします。
そのため、「logは暗部に弱い」と考えれば良いと思います。
下記はlogで撮影したものと、カラーグレーディングを施したものです。


こちらは先日行われたヤリスクロスの撮影で、mavic 2のd-logで撮影したもの。logで撮影したものはトーンがグレーっぽい配色ですが、編集時に補正する前提で考えられています。
色をしっかり当てることでナチュラルで撮影するより、暗部と明部の諧調がしっかり残したまま映像にできます。

また、手軽かつ使いやすい機種でlog撮影ができるものが下記になります。
・SONY α7Ⅲ(フルサイズ)
・PANASONIC LUMIX GH5S(マイクロフォーサーズ)

個人的にはGH5Sがおすすめです。理由は、後ほどお話しいたします。

可能であればrawで撮って!の解答

写真を撮影する人はわかると思いますが、動画でもrawデータで撮影することができます。
現像前の状態なので、ホワイトバランスやISO感度を編集のタイミングで変更できるのが大きなメリットかと感じます。
logよりさらに緻密なカラーグレーディングをする際には是非使いたい映像形式です。

rawで撮れる機種はそこまで多くはありませんが、中でもBLACK MAGIC DESIGNのBMPCC4Kは超おすすめ!
編集時にサクサク動くのが特徴で、4K60fpsで撮っても結構楽勝で編集できたりします。
最近のシネマ系動画で多く使われている機種ですが、お値段もお手頃なので本当におすすめです。
ただし、その分使いづらさはあります。そちらは以前の記事で簡単に説明していますので是非ご覧ください。

【BMPCC4K】ポケットシネマティックカメラの決定版。4:2:2 10bitを遥かに超えるBlack Magic RAWの美しさを他機種と比較。

4:2:2 10bitで撮れるカメラで撮って!の解答

これに関しては非常に重要な要素で、今カメラでポピュラーなものが4:2:0 8bitと4:2:2 10bitがあります。
なにが大きく違うというと
8bitは256諧調、10bitは1024諧調ということ。つまり10bitの方がより多く情報が含まれており、色表現が豊かでノイズも出辛くなります。
私がGH5Sをおすすめする理由としては、10bitであるということ。マイクロフォーサーズでセンサーが少し小さめですが、フルサイズ 8bitのα7Ⅲより使いやすいのでは、と思っています。
ただ、α7SⅢなどが登場して徐々にSONYにシフトしていくのでは、とも考えられます。
下記はGH5Sメインで撮影した動画です。コンパクトな一眼でも美しく撮影することができるのが魅力です。

明るいレンズ使って!の解答

撮影時のレンズ選びは重要で、持っているカメラのマウントに合わせて選んでいく必要がありますが、会社と個人で所有しているカメラはどちらもマイクロフォーサーズなので、お互いで補完しながら使っています。
その中でも明るいレンズを選んで使っていますが、明るさの基準としては「F値」が低いものを選びます。
F値が低いものはよりボケ感を楽しめるので、できるだけ単焦点のレンズで構成するのをお勧めしますが、中でも自分が好んで使っているのがフォクトレンダーの 25mm f0.95
とにかく明るいレンズで、開放時のf0.95は圧倒的な明るさを表現してくれます。明るいレンズを使えば暗部でもある程度ISO感度も抑えられるので、ノイズ対策にもなってきます。
編集時にもとろけるような映像に色を当てていくのが本当に楽しい!お勧めのレンズです。

スライダー使って!の解答

カメラと三脚の間に取り付ける短いレールのような器具ですが、これが印象的な映像を作ります。上記の三英社製作所様の映像では、スライダーを多用しています。
(基本的にはカメラを左右に動かすだけです。)
スライダーなんて使わずに、三脚で左右にパンすればいいじゃん。なんて思う時代もありました。しかし、絵に大きな違いが出てきます。

上記は、左が三脚を使ってパンをした視野、スライダーを使った視野ですが、前者の方だと、絵が垂直水平に映らないという欠点があります。
画角が全体的に歪んでしまうことで、美しさが減ってしまうというデメリットがあります。
対するスライダーであれば、被写体と並行に動くので、直線的な映像ができることで美しさがグッとあがります。また、手前の被写体と奥の被写体が逆に動く構図になるため、絵に動きが出るというのもポイントです。
また、ここは個人的な考えですが、「被写体動いてるのにカメラ動かさないなんて被写体に失礼じゃね?」と思っています(笑)
なので車などよっぽど速く動くものは別ですが、基本的にはスライドさせたい、と考えています。
もちろん、パンで動かした方が全景が映しやすいというメリットがあるので、外観など大きなものを撮るときはパンを使うべきかと思います!

とまあいろいろ書かせていただきましたが、以上を撮影時に盛り込むと、美しい編集がしやすく下準備ができます。(多分考えれば証明のことなどもっともっとあると思いますが)
改めていいますが、私はカメラマンではありません(笑)
しかし、編集で少し時間をかけてでもよくしたい場合は、カメラのことも知っておかないとダメだと思い、技術的な習得も必要と考えています。
パンを作れないパン屋はいない、ということですね。美味しいものを作るために学ぶべきことはいくらでもあるということです。

さて、次は編集編の話の記事を作っていきます! お楽しみに!

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