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コロナ禍の影響を受けて、あらゆる事業フェーズにおいて非対面・非接触が求められる今、
採用活動にもオンライン化が求められています。

従来、学生を自社に招き、会議室などで実施していた説明会を、単にオンラインで代替するのではなく、
学生の疑問や不安に応えるために、コミュニケーションの機会は維持しながら、
一方で、いかに自社の方針やビジョンを正しく伝えていけばよいのか…
お悩みの人事担当者様も多かったのではないでしょうか。

今回は特に、採用活動プロセスで母集団を獲得する重要フェーズである「会社説明会」について、
当社、人事担当者S君の視点で、実際に直面した従来型の説明会中止を受けてから、なんとか試行錯誤して
「動画を活用したWEB会社説明会」を開催するまでの経緯と、そこから得られた成果、そして、
経験から感じたWEB説明会のメリット・デメリット、そして成功に導くコツについてお伝えしたいと思います。

新型コロナウイルスが採用活動に与えた影響

3月は、当社の採用スケジュールにおいて、自社での会社説明会の時期であったものの
新型コロナウイルスが全国的に猛威を振るいはじめ、生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れがあるとし、
外出の自粛をはじめ、感染防止に向けたあらゆる措置がとられ始めた時期でした。

当社においても学生の安全を考慮し、予定していた会社説明会の中止を決定したのでした。
1年のスパンで取り組む採用活動において、どこかのフェーズで断絶されてしまうと
その年の採用活動に大きな影響を受けることになります。
これにより、当社は採用活動が完全にストップした状態となり、人事担当者S君は頭を抱える事態となったのでした…。

必要に迫られオンライン化、まず取り組んだこと

この時期S君が、ネットで解決策を模索していると、多くの会社が同様に会社説明会の中止を余儀なくされ
採用活動が中断しているという状況である一方で、
代替手段としてWEB会議ツールを活用した「WEB会社説明会」が行われているという情報が目にとまりました。

「これしかない!」

当時の社内では、ZOOMをはじめとしたWEB会議システムには、まだ馴染みがなく
人事担当のS君も、正直詳しい運用などは分からないまま、藁をもつかむ思いで「WEB会社説明会」の開催を決めたのでした。

ただ不幸中の幸いだったのは「動画制作」は当社の一つのメイン事業として、元テレビマンも在籍しながら
多くの案件を手掛けていたことでした。
S君は、動画制作で培ったノウハウが、WEB配信とマッチすれば、きっとうまくいくと考えたのでした。

こうして成功の確信はまったくないものの、時期を逃すとより事態が悪化する状況下において、
決断を迫られたS君の呼びかけにより、社内プロジェクト「WEB会社説明会」は発足したのでした。

当社では新規事業開発の一環として、部署をまたぐプロジェクトは頻繁に行われており
新しい取り組みへチャレンジするという風土は、少しずつ根付いていた気がします。
そんな背景の後押しもあり、S君の呼びかけにすぐに、営業や制作部署のメンバーが応えてくれました。

今振り返ると、正解のない取り組みにおいて一番大事なのは
「やると決める」という覚悟をしっかりと見せる、ということなのかもしれません。

WEB会社説明会に向けた準備とは?

さて、幸い体制はスピーディに構築されたものの、ここからはWEB会社説明会の開催に向け
具体的な準備について検討する段階となりました。
人事担当者S君を中心に、取り組んだ段取りを、ざっと箇条書きすると以下の通りとなります。

・ターゲットと目標値を決める。
・配信日(説明会の開催日)を決める。
・脚本構成を考える。
・配信ツールを決める。
・撮影場所を決め、収録する。
・学生への告知を行う。
・配信会場の設営・リハーサル

いくつかポイントをご説明しますと
まず会社説明会を実施するにあたり、ターゲットと目標値を定めました。
これは従来の採用活動と同様に、入社してほしい学生像のペルソナ設定や
どれくらいの人数の応募者数を目指すかを定めるものです。
これにより制作する動画の内容や構成が左右される、大切な方針決めとなります。

配信ツールは、「Zoom」や「Youtube」などを検討しましたが
学生の参加状況の把握や、チャットやアンケート機能などが充実している「コクリポ」を採用しました。

そして、配信する手段についてとなりますが
当時はリアルタイム、いわゆるライブ配信を採用している企業が多いように感じましたが
当社では、動画制作の経験を活かし、あらかじめ収録した動画の配信と、ライブ配信の両方を組み合わせる構成にしました。

全体構成の中で、会社概要や目指すビジョン、先輩の声、職場風景など、当社で伝えたいことはあらかじめ収録し、
一方で、学生からの質問を受ける時間のときは、インタラクティブ(双方向)なコミュニケーションを図れるようにライブ配信を行うという、使い分けにより収録と生配信の双方イイとこどりを狙ったものでした。

収録は当社の撮影スタジオで行われましたが、学生の関心を踏まえて職場のシーンも加えたのですが
この時は「先輩の声」を担当する社員が「Goproによる自撮り撮影」をして、なるべく普段の職場風景が伝わるように収録されました。

リハーサルは、開催日の数日前に、本番とほぼ同じ状況で実施しました。
実際にやってみると、登壇者のモニターや、チャットの受け答えをする人員が必要など
より良い運用に向けて、修正点をつぶしていくことができました。

 

やってみて感じたメリット・デメリット

まずメリットは、なんといっても従来型の説明会が開催できない環境下で、実施できたという点だと思います。
これはコロナ禍において思うように就活ができていない学生にとっても、喜びの声を多くいただくことができました。
特に、地方在住の学生にとっては、遠隔地からでも他の学生と同じ条件で参加することができ費用面・体力面で大きなメリットを感じることができたようです。一方企業側にとっても、今まで少なかった地方学生の参加者が増えたことで、採用の幅が広がったという双方のメリットにつながりました。

もう一つの大きなメリットとしてあげられのは説明会に「動画」を活用したことでした。
説明会の動画をひとつのコンテンツとして、しっかりと作り上げることで、従来の会議室で行う説明会よりも
多くの情報を、より深く学生に届けることができ、結果的には「採用ブランディング」という視点で、例年よりも改善を実感することができました。

また、従来型の説明会は、開催する都度、登壇していただく社長や役員、募集職種の社員、総務など、多くの人員を参加していただく必要があります。さらに万が一、予定外の追加開催が必要となった時には、もう一度参加者一人一人にオファーをかける必要があり、人事担当者にとっては多くの負担を要していました。これがWEB説明会となると、動画を収録していることで当日配信するスタッフさえいれば開催が可能になるため、必要最低限の人員での開催が可能となり、大幅なコスト削減につなげることができました。

当初は、不安を抱えたままのスタートとなった「WEB説明会」も、上記のメリットにより例年の説明会参加者数を上回り、取り組みとして成功を収めることができたのでした。

さて一方でデメリットを考えると、いくつかの課題は残ると感じています。

やはり、従来の説明会では学生がどんな姿勢で話を聞いているのか積極性や、直接接することで得られていた雰囲気などは
WEB説明会になることで減ってしまったかもしれません。これについては、チャットなどの活用や、学生の声を聞く機会を増やし学生の発言を引き出すことで、補完することができると思います。具体的にはチャットには、あらかじめ通信状態の確認を投げかけたり質問の例を示してあげるなどして、学生が書き込みやすい雰囲気を演出する工夫があるとコミュニケーションが活性化するのではないでしょうか。

そしてもうひとつは、動画制作や配信においては、技術的なハードルがあげられると思います。
当社では幸い、自社で撮影・編集する環境に恵まれていましたが、そういった設備や技術そして人員リソースがない場合は
外部リソースをうまく活用することも視野にいれてもいいと思います。
トータルの費用対効果を考え、自社でやる部分と、他社に任せる線引きをしっかりと定めることで効果の最大化が得られると思います。

 

採用活動のこれから

世の中では「コロナがいつ収束するのか」よりも「コロナとどう付き合っていくのか」という視点で語られているようです。
つまり「withコロナ時代」における新しい経済活動を、企業は考えていく必要に迫られているのです。
採用活動も同様で、いかに環境に合わせて変化していけるかが、生き残りのテーマとなってきていると言えます。

一方で、危機に直面し、急遽オンライン化にシフトした結果、得られた恩恵も確かにありました。
今後、少しずつ従来型の説明会が再開できたとしても、学生視点ではWEB会議のほうが望ましい場合もあると思います。
急場しのぎでとられた施策も、利便性やメリットがあれば、それは新しいスタンダードになっていくのだと思います。
こちらの記事を読んでいただいた人事担当者様には、ぜひ採用活動の新しいスタンダードを見出していただきたいと思います。

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