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日頃お世話になっているお客様、塗装用スプレーガンのトップメーカー、アネスト岩田株式会社様。
Worksのページでもご紹介しておりますが、ポスターの撮影前、撮影中色々と考えることが多かった案件でしたので、そのことをを少々書いてみたいと思います。

今回、当社ディレクターkajiさんからの要望は、「螺旋状にスプレーガンを配置して撮ってほしい」でした。お預かりしているスプレーガンは8機。現物のポスターは長さ約3m。これで、一発撮りの選択肢は消え、かなり考えて撮る必要があるなと作業の煩雑さを覚悟しました。

まず、螺旋状にするからには躍動感を感じるものにする必要があります。動かない物で躍動感を表現することは難しいですが、何回転の螺旋が程良いのか、1機づつの角度は90°と180°は避けた方が良いだろう等々考え、およそ1と3/4回転、ほぼ均等に約80°づつ回転させることにしました。

視覚的には、下から上に向かって回っている方が良く、メインとなるスプレーガンは、高さがカメラから見て、水平より若干下からと少し見上げる感じのものの2機。向きも真横や真正面は避け、それぞれ左右に向きが異なる様にしました。

メイン機加工前画像

別々に撮影し合成する場合、一番注意する点は「遠近感が自然に見えること」です。
遠近感を表現するセオリーは、近景ないし遠景をボカすこと、あるいは近景と遠景の大きさの差を強調することですが、今回は全てのスプレーガンにピントが合っている必要があります。また、商品の形も美しく再現されている必要があるため、広角レンズを使った様なデフォルメも使えません。

そこで、スプレーガンの大きさはレイアウト時に変更することにして、撮影時には「螺旋状に配置したスプレーガン」を「どの位置から見た画像」にするか、という点に注意。
均等にカメラの高さと角度を変えていくことはせず、メイン機から離れている機体ほどカメラの角度を鋭角にして距離感を出すことにしました。

次にスタートとゴール、一番下と一番上のスプレーガンの向きを決めます。同じ向きになると躍動感が無くなってしまうので、スタートはヘッドが見える向きにし、ゴールは逆に後ろ向きになる様にしました。

スタートゴール

撮影は、スプレーガンとカメラの距離、三脚の高さを定規で実測しながら進めます。ピントもスプレーガンの前から後ろまでバッチリ合わせるため、アオリ機能付きのレンズを使用します。スプレーガンの大きさだと絞りだけでは全てピントが合った状態には出来ません。商品撮影には非常に重宝するレンズです。

実測メモアオリレンズ

躍動感をより出すためには、ライティングも重要です。
メタリックな商品を撮る場合、基本的にはストロボでアートレにつくったグラデーションを映し込んで立体感を表現していきます。
被写体ーアートレーストロボ、それぞれの距離と角度を調整することで微妙なグラデーションを作っていきますが、躍動感を出すためには軽い印象にしたかったので、あまり複雑な陰影は付けず、シンプルなグラデーションを心掛けました。

機材的制約、効率の観点から各機一発撮りではなく、画像処理を前提に撮影していきます。日頃から画像処理を生業としている印刷会社ならではの強みですね。

完成メイン機画像

あとは、ディレクターとデザイナーに託します。デザイナーのmoyuさんがカッコよくレイアウトしてくれました。

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